風を見たくて

日々雑感

なぜ同胞を殺したのか0

Posted by TOMY in 書籍 (火曜日 5月 16, 2006 at 1:41:45)
なぜ同胞を殺したのか―ポル・ポト 堕ちたユートピアの夢
井上 恭介 藤下 超
日本放送出版協会 (2001/09)
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おすすめ度の平均: 4

5 絶賛
3 更なる真実を

カンボジアを訪れようと思ったきっかけは、父の足跡を辿ってみようということと、映画「キリングフィールド」に描かれたオンカーのジェノサイドは一体なんだったのかという疑問に対する手がかりを見つけたかったからだ。
人々の平和な顔があふれる今のカンボジアで、その一端さえつかめたとは到底いえないだろう。

プノンペンでは、トゥールスレーン収容所およびキリングフィールドを訪れた。
トゥールスレーン刑務所には、拷問され虐殺された死体の発見当時の死体の写真と、その当時のままのベッドや枕などがその当時のまま置いてあった。天井には拷問の際に飛んだと思われる血しぶきの跡などがあり、ベッドの上のムシロもそのままであった。
トゥールスレーン収容所には、そこに収容された多くの人々の写真があった。男たちだけでなく、女、子供、老人、この罪のない人々はどういう思いでカメラの前に立ったのだろうか?
並べられた写真を見ているとカンボジア人といっても、実にいろいろな顔がある。しかし、ユダヤを迫害したナチスのようなわかりやすいイデオロギーではない。なぜなら、顔かたちの違わない同胞を、旧住民が新住民を迫害し、さらには旧住民同士で傷つけあったのだから。
キリングフィールドと呼ばれる場所には、殺された人の頭蓋骨を収めた祠があったが、実にこれはほんの一部で、カンボジア中がキリングフィールドだったのだ。実際に祠のまわりには、白い欠片が転がっており、それは人間の白骨であった。

この本はポルポト派の当事者にインタビューしている。当事者たちにもいろいろな思惑があって、十分核心に迫れていないようだが、当事者たちの声を通してこの謎の解明につながればと思う。インタビューの模様などは「ポル・ポトの悪夢」という番組として放送されたようだ。あいにく見逃してしまったので、NHKのオンデマンドサービスなどでぜひ見たいものだ。
全てを理解したわけではないが、歴史的経緯も整理されているので、今までで一番わかりやすかった。

地雷を踏んだらサヨウナラ1

Posted by TOMY in 雑記 (火曜日 5月 16, 2006 at 1:35:33)
地雷を踏んだらサヨウナラ
アミューズソフトエンタテインメント (2000/04/28)
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4 この姿二感動
5 地雷を踏んだらサヨウナラ
5 洗練された映画

一ノ瀬泰造のことは、カンボジアに行く前に初めて知った。
同名の本があり母や友人への手紙を再編集したものになっている。これをホーチミン行きの飛行機の中で読んだ。

カンボジアの内戦を取りあげた映画という点では、珍しい一作であるし、冒頭で使われている記録動画もはじめてみた。それだけでも見る価値はあった。
澤田教一やキャパの著書も読んだことがあるが、僕は戦争写真家というものにあまり共感を覚えたことはない。

とはいえ、以下の一節はどこか共感を覚えた。

「プノンペンを一歩外へ出れば、そこは激しい戦闘が行われています。毎日出掛けて泥にまみれています。砲火に身を曝してシャッターを切る時、無論、明日の未来はありませんが、こうして今、一分一秒を生きている実感は重く、充実しています。」

あまりに安定と安全が確保された中に生きては、生きている実感失われてしまう。戦場カメラマンになるというのは極端にしても、自分の場合、旅に出るのは多少の身の危険があっても、そうした実感を得られるからではないかと思うのである。

彼の書いたものなど見ると、あまりプロらしくないし、それでいてどこか憎めないキャラだ。
プロらしくないということで思い出したのが、イラクで捕まった3バカ+2。あの時は家族が中東に住んでいたので、「日本人は金になる」という誤ったメッセージを広まると危険だという思いもあって、日本にいながらも戦戦兢兢だったのだ。
僕が、戦争写真家やイラクで捕まった人々に共感を抱くことができないのは、何でだろうと考えてみると、どこかに「自分でリスクを負うにせよ、人に迷惑をかけてはいけない」という気持ちが強いからであると思う。

未だに一ノ瀬泰造の墓を訪れる若者は多いというは、命を掛けながらも「生きている実感で充実している」と言ってのけるTAIZOに憧憬に近い感情を抱くからではないだろうか。

地雷を踏んだらサヨウナラ
一ノ瀬 泰造
講談社 (1985/03)
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5 戦争とは何か・・・
4 夢の実現。
3 劇映画?それとも劇的人生?

 
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